1992年のヨッティング

01/08/2021

‍ 1990年代の一時期、なんとぼくはヨットのオーナーだった。と言っても、ひとりで所有していたわけではないし(4人だった)、その主なメンバーでもなかった。ヨット好きのKさんという男が、一人では手が出ないヨットを買うために話しに乗りそうな男を何人か誘い、ぼくはなんでぼくが、と思いながらずるずると巻き込まれた、というわけだった。ぼく自身は自分が曲がりなりにもヨットのオーナーになるなんて、夢にも考えたことはなかった。

 もちろん、ヨットは基本的に高い買い物だ。新品で買えば一千万円は下らないだろう。中古の物件だったので価格は相当安かったが、それでも当時のボーナスは軽く飛んでいった。
 我々が(というか、Kさんが)購入したのはシロッコ、という船で、実は双胴船だった。
 普通のヨットは、帆に風を受けて、傾いて進む。
 みなさんも映像が浮かぶと思うけれど、かなりカッコいい。
 ところが、二つの胴体をブリッジした形の(ほとんどマッチ箱のような形の)双胴船は、風を受けても傾かない(というか、傾いたということは、片方の胴体が水面から持ち上がっている、と言う事態を意味するわけで、嵐の中か、という状況だろう)。結果、あまりヨットらしさは味わえない、というような気がする。その代わり、船内は広くて、安定しており、何か海の上に別荘を持っているかのような(かなり盛って描写すれば、ですが)感じもある。
 船舶免許を取れ、というのでかなり苦労して4級を取得した。

‍ ただ、問題はヨットを係留した場所が伊豆だった、ということだ。当時住んでいた西葛西からでも相当遠かった。気軽に週末に行く、という感じではなかった。また、スキル的にも一人で操船するのは自信がなく(思い切ってチャレンジすれば良かったのだが)、誘いあって行く時にでないと行けなかった。
 結局何年間オーナーだったのか、正確には覚えていないが、今思うと伊豆の海の上で陽を浴び、風を受けて進んだり、夜の海をGPS(当時のGPSはズレがひどく、気がつくと海上ではなく、陸の上をヨットが進んでいる!? なんてこともよくあった)頼りに眠気をこらえながら交代で操船する、残りのメンバーは双胴船の胴の部分に潜り込んで揺られながら眠る、なんてこともあって、なんだか懐かしい。メンバーのOさんはとても料理がうまく、釣った魚を材料に料理してくれたりと、ヨットだけではなく、ヨットを乗りに行く、ということ自体が合宿みたいで楽しかったんだろう。
 最後にはいざこざもあって、楽しいことばかりではなかったけれど、やっぱり誘ってもらって良かったんだろうな!